この記事について 注文住宅の間取り検討中に「玄関収納は何をどう決めればいいのか分からない」と感じた経験をもとに、初心者目線で整理した記事です。打ち合わせが始まる前に、大枠をつかんでおくことを目的にしています。
玄関収納は、家を建てたあとに「もっと考えておけばよかった」という声が多い場所のひとつです。
理由はシンプルで、打ち合わせの段階では収納の不便さが想像しにくいから。展示場のモデルハウスはいつでも整頓されているし、営業担当も「このくらいあれば十分です」と言う。でも実際に暮らし始めると、靴・傘・外出グッズ・子どもの荷物が一気に玄関に集まって、あっという間に手狭になる。
この記事では、注文住宅の玄関収納について、種類の違い・広さの目安・配置を決めるときの考え方・後悔しないためのチェックリストを整理します。打ち合わせ前の「頭の整理」として使ってください。
後悔する人の共通点:「今の生活」で設計してしまう
玄関収納の失敗談を聞くと、ほぼ共通するパターンがあります。それは「間取りを決めた時点の生活」で収納を想定してしまうこと。
子どもが生まれる前に設計して、その後スポーツを始めて荷物が増えた。在宅勤務になって、玄関に置くものが変わった。親が泊まりに来るようになって、靴の数が一気に増えた——こういう話は珍しくありません。
よくある後悔をまとめると、大きく3パターンに分かれます。
① 収納量が足りなかった:靴が入りきらない、傘・ベビーカー・アウトドア用品の置き場がない。
② 使い勝手が悪かった:扉を開けるたびに不便、シューズクロークに換気がなくて臭いが気になる、通り抜けできないから結局使わない。
③ 動線とセットで考えていなかった:家族は全員シューズクロークを通るのに、玄関との位置関係が悪くて遠回りになる。
これらを防ぐために、まず「種類と特徴の違い」から整理しましょう。
玄関収納の種類と特徴を比較する

玄関まわりの収納には、大きく4つの形があります。それぞれ使い方・向いている家族構成・間取りへの影響が異なります。
| 種類 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 下駄箱(シューズボックス) | 壁付けの収納棚。省スペースで設置できる | 玄関が広く取れない・収納物が靴中心 |
| シューズクローク(ウォークイン型) | 玄関脇に出入り口が1か所の独立した収納室 | 収納量を確保したい・荷物が多い家族 |
| シューズクローク(ウォークスルー型) | 玄関から入ってホール側に抜けられる動線型 | 帰宅動線を整理したい・洗面・脱衣室と近い |
| 土間収納 | 土間(タイル仕上げ)を収納に使う。靴を脱がずに出入りできる | アウトドア・子どもが多い・自転車などを持ち込む |
下駄箱(シューズボックス)
もっともシンプルな形で、建物のコストを抑えやすい。ただし、靴以外のものは入らないため、傘・荷物・コートをどこに置くかは別で考える必要があります。玄関を広く使えるのは利点ですが、収納量の限界は早い。
シューズクローク(ウォークイン型)
最近の注文住宅でよく選ばれる形。広さがあれば靴以外に傘・コート・ベビーカー・アウトドア用品・宅配物なども収納できます。ただし、換気を忘れると匂いがこもりやすいのが注意点。設計の段階で換気扇か換気窓を必ず確認してください。
シューズクローク(ウォークスルー型)
「玄関 → シューズクローク → ホール(洗面室・洗面台)」という動線が作れるのが特徴。帰宅後に上着をしまい、手洗いに向かうまでが一直線になります。ただし、玄関のメインホールと2つの出入り口が必要なため、間取り上のスペースが大きくなりやすいです。「どう使いたいか」を先に決めてから採用するかどうかを検討するのがおすすめです。
土間収納
床を土間(コンクリートやタイル仕上げ)にして、靴を脱がずに使える収納スペースを作る形。自転車・バイク・キャンプ道具・子どもの外遊び用品など、「外に置くのは心配だけど屋内に上げたくないもの」を置くのに向いています。リフォームでは作りにくいため、新築で検討するなら早めに設計士に相談を。
広さの目安を整理する
「何㎡くらい必要ですか?」という質問に対して、正直なところ「家族の人数と持ち物次第」という答えになります。ただ、打ち合わせ前の参考として、よく言われる目安は次のとおりです。
| 家族構成 | シューズクローク(ウォークイン)の目安 |
|---|---|
| 2人暮らし | 1畳前後でも使えるが、余裕を持つなら1.5畳 |
| 子ども1〜2人の4人家族 | 1.5〜2畳が現実的な目安 |
| 子どもが多い・荷物が多い | 2〜3畳以上 |
ここで気をつけたいのは、畳数のイメージと実際の収納量のギャップです。シューズクロークには棚・可動棚・ハンガーパイプなどを設置しますが、出入り口の幅・扉の有無・棚の配置によって、使える面積は大きく変わります。実際に模型や図面を見ながら、「ここに靴を何足置けるか」を確認するのがベストです。
配置を決めるときに考えること

広さが決まっても、「どこに置くか」がうまく噛み合わないと使い勝手が悪くなります。玄関収納の配置で確認しておくべきポイントを整理します。
玄関との位置関係:玄関に入ってすぐ使える場所にあるか。シューズクロークが「玄関の奥」や「廊下を曲がった先」にあると、面倒で使われなくなります。
扉ありか扉なしか:扉があると来客時に目隠しになりますが、出入りのストレスは増えます。扉なし+ロールスクリーンという選択肢もあります。どちらが合うかは「見せたくないものをどれだけ収納するか」によって変わります。
換気の有無:シューズクロークには換気扇か換気窓を必ずつけることを検討してください。臭いと湿気が溜まりやすい空間です。後から追加するのはコストがかかるため、最初に設計に入れておく方が確実です。
採光:なくても使えますが、あると使い勝手がよくなります。特に子どもが自分で靴をしまう場合、暗いと使わなくなりやすい。
後悔しないためのチェックリスト
ハウスメーカーとの打ち合わせ前に、家族で確認しておきたい項目をまとめました。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 収納するものを書き出す | 靴の本数・傘・コート・アウトドア用品・子どもの荷物など具体的に |
| 5年後の生活を想像する | 子どもの成長・在宅勤務の変化・趣味の増加など |
| 動線を決める | ウォークスルーが必要か、玄関だけで完結させるか |
| 換気の場所を確認する | 換気扇 or 換気窓、どちらが設置できるか |
| 扉の有無を決める | 目隠しを優先するか、使いやすさを優先するか |
| 収納量を実寸で確認する | 図面上の「1.5畳」が実際にどう使えるかをモデルハウスで見る |
| 照明を確認する | 玄関ホールとシューズクロークそれぞれに照明を確保しているか |
ハウスメーカーに相談する前に決めておくこと
「玄関収納をどうしたいか」は、ハウスメーカーの設計士に「お任せします」と言うのがいちばん後悔しやすいポイントです。設計士は動線や構造のプロですが、「その家族がどう使うか」は伝えないと分かりません。
相談前に整理しておくと打ち合わせがスムーズになるのは、次の3点です。
何を収納したいか(具体的に):「靴を20足・傘6本・コート4枚・ベビーカー1台・ゴルフバッグ2本・自転車1台」のように、品目と数量を書き出す。
誰がどう使うか:子どもが自分で靴をしまうか、来客動線と家族動線を分けるか、ペットがいる場合の動線はどうするか。
今後の変化を伝える:子どもが何人になりそうか、趣味が変わりそうか、在宅勤務の可能性はあるか。
これを伝えたうえで、複数の収納プランを提案してもらうのが、打ち合わせを効率的に進めるコツです。
編集部より 展示場で玄関まわりを見るとき、ついデザインや広さに目がいきがちです。でも「この収納には何が入るんだろう」「帰宅してからこの流れはどうだろう」という視点で見ると、同じモデルハウスがまったく違って見えてきます。展示場巡りのときに、ぜひ自分の生活を重ねながら試してみてください。
まとめ
- 玄関収納の後悔は「今の生活だけで設計した」ことに起因することが多い
- 下駄箱・ウォークイン・ウォークスルー・土間収納は、それぞれ使い方と間取りへの影響が異なる
- 広さは家族構成と収納物の量を具体的に書き出してから決める
- 換気・採光・扉の有無は後から変えにくいため、最初に設計に入れておく
- ハウスメーカーに相談する前に「何を収納するか」「誰がどう使うか」を家族で整理する
よくある質問
Q. シューズクロークはどのくらいの広さがあれば足りますか?
4人家族であれば1.5〜2畳が現実的な目安です。ただし棚の配置・扉の有無・出入り口の幅によって使える量が変わるため、図面だけでなく実際のモデルハウスで確認するのをおすすめします。収納するものを品目と数量で書き出してから設計士に伝えると、プランのすり合わせがしやすくなります。
Q. ウォークイン型とウォークスルー型はどちらがおすすめですか?
どちらが合うかは「帰宅後の動線をどう設計したいか」によります。手洗い・着替えまでを一直線にしたければウォークスルー、玄関に収納をまとめたければウォークイン。ウォークスルーは間取りの面積を多く使うため、全体の広さとのバランスも確認してください。
Q. 玄関収納に扉はつけたほうがいいですか?
来客時の見た目を重視するなら扉あり、使い勝手を優先するなら扉なし(ロールスクリーンで目隠し)という選択もあります。扉の開閉が面倒で結局使わなくなる、という声もあるため、どれくらい頻繁に出入りするかを基準に考えると判断しやすいです。

