注文住宅を建てた人が口を揃えて後悔するのが、収納です。「もっと増やしておけばよかった」だけでなく、「広くしたのに使いにくい」という声も多い。量の問題より、場所と使い方の問題で失敗するケースが目立ちます。
この記事では、収納計画でありがちな落とし穴と、人気の収納スペースの選び方・注意点を整理します。ハウスメーカーに相談する前に、ひと通り目を通しておいてください。
なぜ収納で後悔する人がこれほど多いのか?
収納の失敗は、間取りを先に固めて、収納をあとから付け足そうとするところから始まります。
収納は、量・使いやすさ・場所の3つが揃って初めて機能します。広さだけを増やしても、生活動線から外れた位置にあると日常的に使われなくなります。リビングで使うものが2階の納戸にある、というのがその典型です。
後悔しやすい3パターンを整理すると、こうなります。
- 間取りを先に決めて、収納を後から足そうとした
- 今の荷物量だけで判断して、将来の変化を見ていなかった
- 収納の「広さ」だけを気にして、「取り出しやすさ」を考えていなかった
特に3つ目は見落としやすいです。棚の奥行きが深すぎると奥のものが取り出せなくなり、通路が狭すぎるウォークインクローゼットは着替えるたびにストレスになります。
収納量はどのくらい確保すればいい?
延床面積の15%前後が、収納スペースの目安です。
たとえば延床30坪(約99㎡)の家なら、約4.5坪(約15㎡)。延床35坪なら約5.3坪が目安になります。
| 延床面積 | 目安の収納スペース |
|---|---|
| 25坪 | 約3.8坪(約12.5㎡) |
| 30坪 | 約4.5坪(約15㎡) |
| 35坪 | 約5.3坪(約17.5㎡) |
| 40坪 | 約6坪(約20㎡) |
ただし「15%確保できた」で終わりにしないほうがいいです。今の荷物量で計算すると、子どもが生まれたり趣味が増えたりしたときに詰まります。入居時点の荷物量を基準にしつつ、少し余裕を見て計画するのが後悔の少ない進め方です。
【知っておきたいポイント】 収納量の目安として「延床面積の15%」がよく使われますが、家族構成・趣味・荷物の多さで大きく変わります。上記の数値はあくまで計画を始めるときの出発点として使ってください。
収納計画を立てる手順
闇雲に「ここに収納がほしい」と伝えるより、順番に考えた方が設計担当との話がスムーズになります。
ステップ1:今の荷物を棚卸しする
「だいたいこのくらい」という感覚ではなく、カテゴリ別に書き出してみます。衣類・靴・食品ストック・家電・趣味のもの・季節ものなど。書いてみると、「これがこんなにあったのか」と気づくことが多いです。
ステップ2:使う場所の近くに置く
収納計画の基本は、使う場所の近くに収める場所を作ることです。置く場所が変わるだけで、毎日の片付けのしやすさが変わります。
| 収納する場所 | 収納すべきもの | よくある失敗 |
|---|---|---|
| 玄関 | 靴・コート・傘・ベビーカー | 靴の量を甘く見て、入り切らない |
| リビング | 日用品・雑誌・充電器 | 収納をつくらず、すぐ散らかる |
| キッチン周辺 | 食材・調理器具・家電 | 食器棚だけで家電置き場がない |
| 洗面室 | タオル・日用品ストック | 洗面台下だけでは足りなくなる |
| 寝室・クローゼット | 衣類・季節もの | WICにしたが、使いにくかった |
ステップ3:将来の変化を想定する
子どもが生まれると衣類・おもちゃ・学用品が増えます。在宅ワークが定着すると仕事道具の置き場が必要になります。今の暮らしぴったりで設計すると、5年後に詰まることがあります。
人気の収納スペース6種類:選び方と注意点
最近の注文住宅でよく採用される収納スペースを、特徴と注意点とともに整理します。どれが自分の暮らしに合うかを考えながら読んでみてください。
土間収納(シューズクローゼット)
玄関横につくる、靴のまま出入りできる収納スペースです。靴だけでなく、ベビーカー・自転車用品・ゴルフバッグ・アウトドア用品なども置けるので、外で使うものをまとめて管理したい家族に向いています。
注意したいのは広さの見積もりです。「靴が入ればいい」と小さめにつくると、子どもが生まれたとき・趣味が増えたときに詰まります。棚の高さと奥行きも、入れるものに合わせて設計しておくと後悔が少ないです。
パントリー
キッチン周辺に設ける食品・調理器具専用の収納です。まとめ買い派の家庭や、調理家電が多い家庭との相性がいいです。
奥行きは45cm前後が使いやすく、60cm以上になると奥に何があるか分からなくなりがちです。扉をつけるかオープンにするかは生活スタイルで決めてください。扉があると見た目がすっきりしますが、そのぶん開け閉めの手間が増えます。
ウォークインクローゼット(WIC)
寝室に隣接させて、衣類をまとめて管理するクローゼットです。ご夫婦2人分の衣類をひとつにまとめたい場合に向いています。
よくある失敗は4つあります。
- 通路が狭くて着替えにくい(最低でも通路幅60cm、できれば80cm以上)
- 照明がなくて暗い(クローゼット内に照明の設置を忘れがち)
- コンセントがなく掃除機が使えない(アイロン台を置く場合も同様)
- 換気が不十分でカビが発生する(湿気がこもりやすい場所なので換気計画が必要)
広さの目安は、2人分の衣類をオールシーズン収納するなら2〜3畳程度からです。ただしウォークインにすると、その分だけ寝室や隣室が狭くなります。通常のクローゼットを各部屋に分散させる方が、トータルで使いやすいケースもあります。
ファミリークローゼット
家族全員の衣類を1か所に集約する収納です。洗濯→乾燥→収納の動線を短くできるため、家事の動線を短くしたい家庭に向いています。
設置場所は、洗面室・脱衣所の近くが最も動線が短くなります。廊下をはさんで離れた位置にあると、せっかくの利便性が半減します。
屋根裏収納(小屋裏収納)
屋根と天井の間のデッドスペースを活用した収納です。使用頻度の低い季節もの・雛人形・スーツケースなどを置くのに向いています。固定階段をつけられる場合と、はしごのみの場合があり、固定階段にするほど使い勝手が上がります。
ただし夏場は高温になりやすく、熱に弱いものの保管には向きません。断熱・換気の設計も確認しておきましょう。
階段下収納
デッドスペースを活用した収納として、コストパフォーマンスが高い選択肢です。掃除道具・日用品ストック・工具類などを収めるのに適しています。
奥に向かって天井が低くなる形状なので、棚の配置を工夫しないと奥が使いにくくなります。扉の開き方(引き戸 or 開き戸)も使いやすさに影響します。
隠す収納と見せる収納、どう使い分ける?
すべてを隠す収納にすると扉や引き出しが増えてコストが上がります。見せる収納はきれいに維持するためにひと手間かかります。どちらにも一長一短があるので、置くものに合わせて使い分けるのが現実的です。
| 収納タイプ | 向いているもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 扉あり(隠す) | 生活感を出したくないもの | 扉のぶんコストがかかる |
| オープン棚(見せる) | よく使うもの・見栄えの良いもの | 埃がたまりやすい |
| 引き出し | 細かいもの・衣類 | 奥が見えにくくなりがち |
ハウスメーカーに相談する前に整理しておくこと
収納の相談を設計担当に持っていくとき、曖昧なままだと「標準的な収納量」で設計されがちです。次の項目を手元に用意してから相談すると、話が早くなります。
- 現在の荷物の種類と量(衣類・家電・趣味のもの・季節ものなど)
- 家族構成と今後の変化の見通し(出産予定・親との同居など)
- 特にものが多い場所(靴が多い・キッチン家電が多いなど具体的に)
- 今の住まいで使いにくい収納の問題点
- 収納にかけられるコストの上限感
【編集長の見解】 積水ハウスで設計打ち合わせを進めると、収納については担当設計士から「どこに何をしまうか具体的に教えてください」と必ず聞かれます。「たくさん欲しい」だけだと、使いにくい場所に大きな収納がつく結果になりがちです。今の自宅で「いつもここに置きっぱなし」になっているものをリストアップしておくと、打ち合わせの質が変わります。
どのハウスメーカーが自分の暮らし方・収納へのこだわりに合うかは、メーカーによって得意な設計が違います。まず方向性を整理したい方は、ハウスメーカー診断(無料・約2分)から始めてみてください。
まとめ
- 収納は量より場所と使いやすさが先。動線から外れた収納は、広くしても使われなくなる
- 延床面積の15%が収納スペースの目安。30坪の家なら約4.5坪から計画を始める
- 土間収納・パントリー・WIC・ファミリークローゼット・屋根裏・階段下、それぞれ得意なものと注意点が違う
- ウォークインクローゼットは、通路幅・照明・換気・コンセントを設計段階で確認する
- ハウスメーカーへの相談前に「今の荷物の棚卸し」と「不満点の言語化」をしておく
どのメーカーが自分の暮らし方に合うか迷っている方は、ハウスメーカー診断で整理してみてください。16社を比較してメーカーを絞り込みたい方は比較ガイドも参考になります。積水ハウスで検討中の方は、担当者の無料紹介も利用できます。
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よくある質問(FAQ)
Q. 収納の量はどのくらい確保すれば十分ですか?
延床面積の15%前後が目安です。30坪の家なら約4.5坪が計算上の基準になります。ただし家族構成や趣味・荷物の量で大きく変わるため、現在の荷物を種類別に書き出してから設計担当に具体的に伝えるのが確実です。
Q. ウォークインクローゼットと普通のクローゼット、どちらがいいですか?
どちらが優れているという話ではなく、暮らし方次第です。夫婦の衣類をひとまとめにしたい・着替えもその場でしたい場合はウォークインが向いています。ただし、コンパクトな間取りでは通常のクローゼットを各部屋に分散させる方が使いやすいことも多いです。通路幅・照明・換気は設計の段階で必ず確認を。
Q. 後から収納を増やすことはできますか?
リフォームで後から追加することは可能ですが、コストと工事の手間がかかります。新築時に「少し多め」に設計しておく方が、長い目で見てコスパが高くなります。
Q. 収納計画はどの段階でハウスメーカーに相談すればいいですか?
間取りの打ち合わせが始まるタイミングから、収納も同時に相談するのがベストです。間取りが固まってから収納を考えると、スペースが確保できなくなることがあります。
Q. 収納の設計はオプションになることが多いですか?
ウォークインクローゼットや大型の収納スペースは追加費用になるケースがあります。標準仕様に含まれる収納の範囲は、見積もりの段階で必ず確認してください。メーカーによって標準の範囲がかなり違います。
Q. ファミリークローゼットはどこに設置するのが正解ですか?
洗面室・脱衣所の近くが最も動線が短くなります。洗濯→乾燥→収納がひと続きになるので、家事の手間が大きく変わります。廊下をはさんで離れた位置につくると、便利さが半減します。
Q. 屋根裏収納は何を入れるのに向いていますか?
季節もの(クリスマスツリー・雛人形など)・スーツケース・使用頻度の低いものを入れるのに向いています。夏場は高温になりやすいため、熱に弱いものの保管には向きません。固定階段がつけられる場合は、使い勝手がかなり変わります。

