全館空調が得意なハウスメーカーは、三菱地所ホーム・セキスイハイム・パナソニックホームズ・三井ホーム・桧家住宅の5社が特に実績豊富です。各社が独自のシステムを持っており、採用率・コスト・機能で大きく差があるため、「何を優先するか」で選ぶべきメーカーが変わります。この記事では、2026年時点の各社システムの特徴・導入費用の目安・向いている人をまとめて比較します。
全館空調が得意なハウスメーカー比較一覧
以下は、2026年時点の各社公式情報をもとにした比較です。導入費用は建物規模やオプションで変動するため、目安としてご参照ください。
| ハウスメーカー | システム名 | 導入費用目安 | 採用率 | 部屋別温度調整 | 加湿機能 |
|---|---|---|---|---|---|
| 三菱地所ホーム | エアロテック | 約300〜350万円 | 約96% | ○ | ×(別途対応) |
| セキスイハイム | 快適エアリー | 約150万円〜 | 約50%以上 | ○ | △(別付け可) |
| パナソニックホームズ | エアロハス | 約150万円〜 | 約50% | ○ | ○ |
| 三井ホーム | スマートブリーズ | 約150万円〜 | 約60% | ○ | ○ |
| 桧家住宅 | Z空調 | 約150万円〜 | 約95% | △ | × |
| トヨタホーム | スマート・エアーズ | 約100〜130万円 | 約70% | ○ | ○ |
| 積水ハウス | エアシーズン | 非公開 | 非公開 | ○ | △ |
| 一条工務店 | さらぽか空調 | オプション追加 | − | × | ○(除湿特化) |
※各システムはそのハウスメーカーで建てた住宅のみに導入可能です。
全館空調とは?個別エアコンとの違い
全熱交換型換気や冷暖房を組み合わせた全館空調とは、1台〜数台の空調機から適温の空気を各部屋のダクト経由で送り込み、家全体を均一な温度に保つシステムです。個別エアコンとの主な違いは次の通りです。
- 廊下・洗面所・脱衣室など「エアコンなし空間」も快適温度に保てる
- ヒートショック(急激な温度変化による心臓・血管への負担)リスクを下げやすい
- 高性能フィルターを通した換気で、花粉やPM2.5の室内流入を抑えやすい
- 各部屋にエアコン室外機が不要になり、外観・インテリアがすっきりする
一方で、初期費用が高い・24時間稼働が前提のため電気代も一定額かかる・故障時に家全体の空調が止まる、といった注意点もあります。全館空調の効果を最大限に引き出すには、住宅自体の気密性(C値)と断熱性能が前提条件になります。
各ハウスメーカーの全館空調を詳しく解説
三菱地所ホーム「エアロテック」|採用率96%・部屋別温度調整が強み
三菱地所ホームの「エアロテック」は、全館空調への特化度が業界トップクラスで、施主の約96%が採用しています。1台の床置型室内機と天井ダクトで家中の空気を24時間管理し、部屋ごとに温度を個別調整できるのが大きな特徴です。
可変風量制御システム(VAV)と温度制御システム(ABC)の2つを組み合わせることで、暑がりな家族と寒がりな家族が同じ家に住んでいても、それぞれの部屋で快適な温度を実現できます。10年間の長期保証と年1回の無償点検付きで、保証期間終了後も定期点検制度が用意されています。
導入費用は40坪で約300〜350万円が目安と、各社の中では高めの水準です。ただし採用率96%という実績が示す通り、性能・サポートへの満足度は高い評価を得ています。加湿機能はないため、乾燥が気になる方は別途加湿対策が必要です。
こんな人に向いている: 部屋ごとに快適温度を細かく管理したい家族・長期保証と手厚いサポートを重視する人
セキスイハイム「快適エアリー」|床下空調と高い空気清浄性能
セキスイハイムの「快適エアリー」は、床下に空調ユニットを設置して床面の吹出口から冷暖気を送り出す、床下空調型の珍しい方式です。床から空気が供給されるため、足元から温まりやすく、天井付近との上下温度差が出にくいのが特長です。
空気清浄性能にも力を入れており、三層フィルターで花粉・PM2.5・ウイルスなどを高い割合で除去します。また、1日最大約40Lの除湿能力を持ち、梅雨時の室内干しにも対応します。
メンテナンスの頻度は5年に1回と各社の中で最も少なく、手間を省きたい人に向いています。
こんな人に向いている: 空気の清潔さを特に重視する人・足元からの暖かさを好む人・メンテナンスの手間を減らしたい人
パナソニックホームズ「エアロハス」|加湿機能付きで省エネ性が高い
パナソニックホームズの「エアロハス」は、冷暖房・換気・加湿・除湿・空気清浄の機能を一体化したシステムです。部屋ごとに温度設定が可能で、省エネ大賞(2019年度)を受賞しており、電気代を抑えながら快適な環境を維持できます。
メンテナンスは6ヶ月に1回のフィルター清掃が目安で、年間コストは約6,400円が目安とされています。花粉対策製品認証を住宅業界で初めて取得しており、アレルギー体質の方にも向いています。
ただし、標準仕様がペアガラスのため、全館空調の効率を最大化したい場合はトリプルガラスへのアップグレードを検討するとよいでしょう。ペアガラス(複層ガラス)とトリプルガラスの断熱性能の差は、全館空調の冷暖房効率に直結します。
こんな人に向いている: 加湿機能まで含めた空調を一元管理したい人・花粉やアレルギーが気になる人
三井ホーム「スマートブリーズ」|多機能で電気代を抑えやすい
三井ホームの「スマートブリーズ」は、冷暖房・加湿・除湿・換気・空気清浄・脱臭の7つの機能を1台で賄う全館空調システムです。業界トップクラスの断熱性能と組み合わせることで、一般的な個別エアコン住宅と比較して冷暖房費を大幅に抑えられるとされています。
施主の約60%が採用しており、全館空調の性能とデザイン重視の設計を両立したい人に向いています。三井ホームは2×4工法(ツーバイフォー工法)を主力とし、高気密・高断熱の土台があることで全館空調との相性が良いのも特長です。
こんな人に向いている: 電気代を抑えながら多機能な全館空調を使いたい人・デザインと性能を両立したい人
桧家住宅「Z空調」|低コストで高い採用率を誇るコスパ型
桧家住宅の「Z空調」は、導入費用が比較的安い水準で、採用率が約95%と三菱地所ホームに次ぐ高さを誇ります。1台の専用空調機とダクトで家中の温度を管理する方式で、シンプルな構造により初期費用を抑えやすいのが特長です。
加湿機能はなく、部屋ごとの個別温度調整も他社システムと比べると限定的です。ただし、費用対効果という観点では全館空調の入門として選ばれやすいシステムです。
こんな人に向いている: 全館空調を低コストで始めたい人・シンプルな操作を好む人
トヨタホーム「スマート・エアーズ」|初期費用が安く加湿機能付き
トヨタホームの「スマート・エアーズ」は、主要各社の中で導入費用が最も安い水準(約100〜130万円)であり、加湿機能も備えています。メンテナンス費用も年間約5,000円と低く抑えられており、ランニングコスト重視の方に向いています。
採用率は約70%で、価格・機能のバランスが取れたシステムとして高い支持を得ています。
こんな人に向いている: 初期費用とランニングコストの両方を抑えたい人
全館空調を選ぶ前に確認すべき4つのポイント
1. 住宅の断熱性能・気密性能が十分か
全館空調は、住宅のUA値(外皮平均熱貫流率)と気密性(C値)が一定水準を満たしていなければ、冷暖房した空気がすぐ逃げてしまい効果が薄れます。各メーカーのカタログや展示場で、UA値とC値の実測値を必ず確認しましょう。
2. 部屋ごとの温度調整が必要か
家族の中に暑がりと寒がりがいる場合、部屋ごとの個別温度調整機能は重要な選定ポイントです。三菱地所ホーム「エアロテック」・パナソニックホームズ「エアロハス」・三井ホーム「スマートブリーズ」などが対応しています。
3. 加湿機能が必要か
全館空調は空気が乾燥しやすい傾向があります。特に冬場に乾燥が気になる方は、加湿機能の有無をメーカー選定の判断軸に加えてください。加湿機能ありはパナソニックホームズ・三井ホーム・トヨタホーム・セキスイハイム(別付け)などです。
4. メンテナンス頻度と費用を確認する
全館空調は個別エアコンと異なり、フィルター清掃や専門業者による点検が定期的に必要です。各社のメンテナンス頻度と年間費用の目安を比較し、長期的なランニングコストも含めて検討することをおすすめします。
全館空調のメリット・デメリット
メリット
家中どこにいても快適な温度を保てるため、ヒートショックのリスクを下げやすいのが最大のメリットです。高性能フィルターを通した計画換気(24時間換気システムと連動するものが多い)により、空気の清潔さを維持しやすく、花粉症やアレルギー体質の方にも恩恵があります。各部屋にエアコンを設置しないため、インテリアがすっきりするのも人気の理由です。
デメリット
初期導入費用は個別エアコン設置と比べて高く、システムによって100〜350万円程度の差があります。電気代は24時間稼働が前提なため、断熱性能が不十分な住宅では思ったより高くなるケースもあります。また、システムが故障した場合、家全体の空調が一時的に使えなくなるリスクがある点も頭に入れておきましょう。
よくある質問
Q. 全館空調はどのハウスメーカーで建てても選べますか?
各ハウスメーカー固有の全館空調システムは、そのメーカーで建てた住宅のみに設置できます。工務店で建てる場合や、自社システムを持たないハウスメーカーで建てる場合は、空調メーカーの「ビルダーフリー」製品を別途導入する方法があります。
Q. 全館空調の電気代はどのくらいかかりますか?
住宅の気密性・断熱性や家族の使い方、地域の気候によって大きく変わるため一概には言えません。断熱等級6〜7水準の高断熱住宅であれば、個別エアコンとの差が縮まるケースもあります。各社の展示場で電気代シミュレーションを確認することをおすすめします。
Q. 全館空調は後からつけられますか?
三菱地所ホームのエアロテックは既存住宅向けの「エアロテック Fit」があります。ただし多くのメーカーは新築時の設置が前提で、後付けはダクト工事が大規模になるため費用が高くなりやすい傾向があります。
まとめ|全館空調の選び方
全館空調が得意なハウスメーカーは複数ありますが、「採用率・サポートの手厚さ」を最優先するなら三菱地所ホーム、「コストと機能のバランス」ならパナソニックホームズ・三井ホーム・トヨタホーム、「低コストで始めたい」なら桧家住宅が選択肢になります。
どのシステムが合うかは、住宅の断熱性能・家族構成・予算・重視する機能によって異なります。まずは各社の展示場でシステムを体感し、相見積もりを取りながら比較することを強くおすすめします。

