積水ハウスの制震システム「シーカス(SHEQAS)」は、鉄骨1・2階建て住宅に搭載される独自の地震対策技術です。展示場やパンフレットで必ず目にする言葉ですが、「耐震とどう違うのか」「自分が検討している商品にも採用されるのか」が分かりにくいと感じる方は多いはずです。
この記事では、公式情報をもとにシーカスの仕組みと対象商品を整理したうえで、実際に積水ハウス(シャーウッド)で家を建てた施主目線のコメントも加えながら解説します。
この記事について 公式サイト・積水ハウスの公開資料をもとに編集部が調査・整理しています。施主コメントは、大手ハウスメーカー8社を比較検討し積水ハウスで実際にマイホームを建てた編集長の実体験に基づきます。
シーカスとは?まず結論を整理する
シーカス(SHEQAS)は、積水ハウスが独自開発した制震システムです。正式名称は「地震動エネルギー吸収システム」で、国土交通大臣に認定された構造技術です。
重要なのは搭載される商品が限られているという点です。シーカスは積水ハウスの鉄骨1・2階建て住宅(軽量鉄骨造)に採用されており、木造のシャーウッドシリーズには搭載されません。積水ハウスを検討するうえで、まずここを押さえておくことが大切です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 地震動エネルギー吸収システム(SHEQAS) |
| 認定 | 国土交通大臣認定構造 |
| 対象商品 | 鉄骨1・2階建て(イズロイエ・ビーサイエ等) |
| 非対象商品 | シャーウッド(木造)、鉄骨3・4階建て |
| 主な効果 | 建物の変形量を耐震構造のみの場合と比べ1/2以下に抑制 |
| ダンパー耐久性 | 耐用年数100年相当(試験確認済み) |
耐震・制震・免震の違い
シーカスが「制震」技術である意味を理解するために、まず3つの考え方の違いを整理します。
耐震
建物の構造自体を強くすることで、地震に耐える考え方です。積水ハウスの鉄骨住宅は基本構造として「ダイナミックフレーム・システム」を採用しており、耐震等級3に対応しています。耐震は地震対策の基本ですが、建物が倒壊しなくても内外装や設備が損傷する可能性は残ります。
制震
建物に地震エネルギーを吸収する装置を組み込み、揺れや変形を抑える考え方です。シーカスはこの制震技術にあたります。耐震構造の上に「さらに揺れを減らす」層を追加するイメージです。
免震
建物と地盤の間に免震装置を設置し、地震の揺れそのものを建物に伝えにくくする考え方です。コスト・設置条件・維持管理の面でハードルが高く、戸建て住宅では採用例が限られます。
積水ハウスの鉄骨1・2階建てにおけるシーカスは「耐震+制震」の組み合わせとして機能します。耐震構造がメインで揺れを受け止め、シーカスが補助的にさらに揺れを軽減するという設計思想です。
シーカスの仕組み
シーカスダンパーが熱に変換して吸収する
シーカスの核心部品は「シーカスダンパー」です。フレームにK型に組み込まれており、地震動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収・放散するシンプルな構造です。
ダンパーには特殊高減衰ゴムが内蔵されており、気温に左右されない安定した特性を持ちます。鋼管の間に密閉されているため劣化しにくく、耐用年数100年相当の耐久性が試験で確認されています。
繰り返しの地震にも効果を発揮する
シーカスの大きな特徴のひとつが、繰り返しの地震や余震に対しても継続して効果を発揮する点です。エネルギーを熱に変換して放散する仕組みのため、一度の地震でダンパーが消耗するということがありません。
積水ハウスは実大モデルによる振動実験を245回実施しており、兵庫県南部地震の最大速度(90カイン)を大きく上回る入力波最大速度160カインという条件下でも、倒壊や外壁の割れ・脱落がないことを確認しています。
変形量を1/2以下に抑える
シーカスを搭載することで、地震時における建物の変形量を耐震構造のみの場合と比べて1/2以下に抑えられます(発生する地震やプランによっては低減効果が1/2以下にならない場合があります)。変形量が減ることで、構造躯体だけでなく内外装の損傷も軽減されます。
シーカスが搭載される商品・搭載されない商品
積水ハウスの商品ラインナップとシーカスの関係を整理します。
搭載される商品(鉄骨1・2階建て)
| 商品名 | 構造 | シーカス |
|---|---|---|
| イズロイエ | 軽量鉄骨造 | 搭載(搭載率90%超) |
| ビーサイエ | 軽量鉄骨造 | 搭載 |
| その他鉄骨1・2階建て | 軽量鉄骨造 | 搭載 |
イズロイエでは搭載率が90%を超えており、ほぼ標準的な扱いとされています。ただし、プランや配置によっては搭載されないケースもあるため、担当者への確認が必要です。
搭載されない商品
| 商品名 | 構造 | シーカス |
|---|---|---|
| シャーウッド | 木造 | 非搭載 |
| 鉄骨3・4階建て(βシステム) | 重量鉄骨造 | 非搭載(別の耐震設計) |
シャーウッドにはシーカスが搭載されません。 木造住宅は構造の特性が異なるため、シーカスとは別のアプローチで耐震性能を確保しています。シャーウッドでも耐震等級3に対応しており、地震対策が弱いわけではありませんが、制震ダンパーの搭載という点では鉄骨系と異なります。
ハイブリッドシーカスについて
2013年10月からは、シーカスフレームを同位置に重ねて配置する「ハイブリッドシーカス」が導入されています。通常のシーカスよりさらに耐震性・制震性が強化され、大開口・大空間の設計自由度も高まります。
編集長コメント
編集長より 私はシャーウッドで建てたので、シーカスは「自分には関係ない技術」として調べた側です。展示場でシーカスの説明を受けたわけでもなく、木造を選んだ時点でシーカスとは無縁になります。
よく「シーカスがないシャーウッドは地震に弱いのか」という疑問を見かけますが、これは比較軸が違うと思っています。鉄骨か木造かを選ぶのは耐震性の強弱ではなく、設計の自由度・コスト・素材の好み・断熱性など、もっと広い軸で判断することです。シーカスの有無だけを理由に工法を選ぶのは、少し違うかなというのが正直な感想です。
鉄骨を検討していてシーカスが気になる方は、イズロイエ・ビーサイエのどちらを選ぶかという段階で担当者に「シーカスは搭載されますか」と確認するのが確実です。
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まとめ
- シーカスは積水ハウスの制震システムで、地震動エネルギーをダンパーが熱に変換して吸収する技術
- 対象は鉄骨1・2階建て(軽量鉄骨造)のみ。シャーウッド(木造)には搭載されない
- 変形量を耐震構造のみの場合と比べ1/2以下に抑え、繰り返しの地震にも効果を発揮する
- イズロイエでは搭載率90%超だが、プランによっては搭載されない場合もあるため担当者への確認が必要
積水ハウスを検討する際は、まず「鉄骨かシャーウッドか」を決めることが先決です。商品選びの方向性が決まったら、ぜひハウスメーカー相性診断で自分に合う工法・メーカーを整理してみてください。
よくある質問
Q. シーカスはオプションですか、標準ですか?
イズロイエでは搭載率が90%を超えており事実上の標準に近い扱いですが、プランや配置によっては搭載されない場合もあります。契約前に担当者へ「このプランにシーカスは搭載されますか」と確認することをおすすめします。
Q. シャーウッドにシーカスが搭載されないのは、地震に弱いということですか?
そういうわけではありません。シャーウッドも耐震等級3に対応しており、木造として十分な耐震性能を持ちます。シーカスは鉄骨住宅の制震技術であり、木造とは構造の特性が異なるため、搭載の有無をそのまま強弱の比較にはできません。
Q. シーカスダンパーはメンテナンスが必要ですか?
公式情報によると、特殊高減衰ゴムは鋼管の間に密閉されており、耐用年数100年相当の耐久性が確認されています。通常の使用では特別なメンテナンスは不要とされていますが、大地震後は専門家による点検を受けることが推奨されます。
Q. シーカスとハイブリッドシーカスの違いは何ですか?
ハイブリッドシーカスは2013年から導入された進化版で、シーカスフレームを同位置に重ねて配置することで耐震性・制震性をさらに強化したものです。大開口・大空間の設計も実現しやすくなります。どちらが採用されるかはプランによって異なるため、担当者に確認してください。

