断熱材の種類と選び方|6種を比較・価格相場【2026年版】

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断熱材には大きく分けて9種類あり、性能・価格・施工方法がそれぞれ異なります。代表的なグラスウールは35坪の住宅で50万〜90万円が目安、最高性能のフェノールフォームは100万〜200万円以上かかります。どれを選ぶかは「住む地域」「工法」「予算」の3点で絞り込むのが基本です。この記事では各断熱材の特徴を比較表で整理し、失敗しない選び方を解説します。

なお、2025年4月以降に新築するすべての住宅には、断熱等級(正確には「断熱等性能等級」)4以上への適合が義務化されています。省エネ基準適合住宅の最低ラインがこの等級4にあたるため、断熱材選びは住宅性能の土台になります。契約前に確認しておきたいポイントです。

目次

断熱材の種類と特徴|主要9種を比較表でチェック

断熱材は大きく「繊維系」「発泡プラスチック系」「木質繊維系」の3系統に分かれます。以下は2026年4月時点の一般的な仕様を前提にした目安です。熱伝導率(λ値)は数値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。

種類系統熱伝導率(目安)価格帯主な特徴
グラスウール繊維系0.030〜0.050 W/m·K安い普及率No.1・コスパ良好
ロックウール繊維系0.036〜0.047 W/m·K中程度耐火性が高い
吹付け硬質ウレタンフォーム発泡プラスチック系0.020〜0.028 W/m·Kやや高い断熱と気密を同時に強化
セルロースファイバー繊維系(天然素材)0.038〜0.042 W/m·K高い防音・調湿性に優れる
フェノールフォーム発泡プラスチック系0.019〜0.022 W/m·K高い最高クラスの断熱性能
押出法ポリスチレンフォーム発泡プラスチック系0.028〜0.040 W/m·K中程度床断熱・基礎断熱で多用
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)発泡プラスチック系0.034〜0.040 W/m·K中程度耐水性・加工性に優れる
インシュレーションボード木質繊維系0.040〜0.065 W/m·K高い防音性・断熱性を兼ねるが採用は限定的

グラスウール

グラスウールは、ガラスを繊維状にした断熱材で、日本で最も普及しているタイプです。価格が安く施工しやすいため、ローコスト住宅から大手ハウスメーカーまで幅広く採用されています。

注意したいのは施工品質です。正しく充填されないと断熱欠損が生じ、性能が大幅に落ちます。施工中の写真を業者に見せてもらうなど、施工精度を確認することが大切です。

ロックウール

ロックウールは、岩石や鉱物を溶かして繊維状にした断熱材です。グラスウールと断熱性能は近いですが、耐火性に優れる点が最大の特徴です。万が一の火災時にも燃えにくいため、防火性を重視する場合に採用されます。

吹付け硬質ウレタンフォーム

吹付け硬質ウレタンフォームは、現場で液状の原料を吹き付けて発泡させる断熱材です。壁の隅々まで密着するため、断熱と同時に気密性(C値)も高まります。

グラスウールより熱伝導率が低く、近年採用するハウスメーカーが増えています。コストはグラスウールより割高です。

セルロースファイバー

セルロースファイバーは、新聞紙などを原料とする天然素材の断熱材です。防音性・調湿性に優れており、「夏涼しく冬暖かい」住環境を作りやすい点が特徴です。コストは高めですが、防音性を重視する方や自然素材にこだわる方から人気があります。

フェノールフォーム

フェノールフォームは、主要断熱材の中でも最高クラスの断熱性能を持つ発泡プラスチック系断熱材です。熱伝導率が0.019〜0.022 W/m·Kと非常に低く、薄くても高い断熱効果を発揮します。ZEH(ゼッチ)住宅や高性能住宅での採用実績が増えています。

押出法ポリスチレンフォーム(スタイロフォーム)

断熱性・耐水性・加工しやすさを兼ね備えた板状の断熱材です。水に強い特性から、床断熱や基礎断熱(地面に近い部位)での使用が一般的です。壁断熱として使われることは少なく、他の断熱材と組み合わせて使われるケースが多いです。

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)

ビーズ法ポリスチレンフォームは、いわゆる発泡スチロールを断熱材用に加工したものです。直径1mmほどの樹脂ビーズに熱と圧力を加えて発泡させ、内部に無数の気泡を作ることで断熱性能を生み出しています。

軽量で耐水性が高く、現場でカッターでも加工しやすいため施工ミスが起きにくいのが利点です。一方で熱には弱く、90度前後で軟化するため、高温になりやすい屋根裏や暖房器具の近くでは他の断熱材の方が向くケースもあります。押出法ポリスチレンフォームと混同されがちですが、製造方法が異なる別の断熱材です。

インシュレーションボード

インシュレーションボードは、廃木材を繊維状にして圧縮成形した木質繊維系の断熱材です。断熱性に加えて吸音性・調湿性にも優れますが、グラスウールの2〜3倍程度のコストがかかるうえ、湿気を吸うとカビや寸法変化が起きやすい弱点があります。

このため大手ハウスメーカーでメインの断熱材として標準採用している例はほとんどなく、内装の下地材や特定部位の補助断熱として使われることが多い断熱材です。種類として知っておく価値はありますが、主力候補としては優先度が下がります。

【編集部の見解】 展示場で各社の標準断熱材を確認していくと、グラスウール・吹付けウレタン・フェノールフォームのいずれかが大半を占めていました。インシュレーションボードのように標準採用が少ない断熱材は、カタログの「対応可能な仕様」欄に載っていても、実際に標準で組み込まれているかは別問題です。見積もり時に「標準仕様か、オプションか」を必ず確認することをおすすめします。

断熱工法の違い|充填断熱・外張り断熱・付加断熱

断熱材は、種類だけでなく「どう施工するか」という工法によっても性能や費用が変わります。同じグラスウールでも、工法次第で得られる断熱効果や気密性は変わってきます。

充填断熱

柱と柱の間にできる空間に断熱材を詰める工法です。グラスウール・ロックウール・吹付けウレタンなどが代表的で、断熱材用に新たなスペースを設ける必要がないため、外張り断熱よりも費用を抑えやすいのがメリットです。木造住宅で最も多く採用される工法でもあります。

ただし、柱の中という限られた空間に充填するため、断熱材の厚みに上限があります。また施工時に防湿フィルムを正しく施工しないと、壁内結露のリスクが高まる点には注意が必要です。

外張り断熱

建物の構造体の外側を断熱材ですっぽり包む工法です。フェノールフォームやスタイロフォームなど板状の断熱材が使われます。柱や梁を断熱材が遮らないため、構造の連続性が保たれやすく、結露や木材の劣化を抑えやすい点がメリットです。

一方で、断熱材を厚くしすぎると外壁が重くなり垂れ下がりのリスクが出るため、極端に厚くはできません。また施工に手間がかかる分、充填断熱よりコストは高くなる傾向があります。

付加断熱

充填断熱と外張り断熱を組み合わせて行う工法です。柱の中と外側の両方に断熱材を入れるため、3つの工法の中で最も断熱性能を高めやすい一方、費用も最もかかります。寒冷地や、断熱等級6〜7クラスの高性能住宅を目指す場合に採用されることが多い工法です。

【知っておきたいポイント】 同じ断熱材を使っていても、充填断熱だけの家と付加断熱の家では、UA値(断熱性能)が大きく変わります。ハウスメーカーを比較するときは、断熱材の「種類」だけでなく「工法」も合わせて確認すると、実際の性能差が見えやすくなります。ハウスメーカー16社の断熱仕様を比較すると、各社の標準工法の違いも整理できます。

断熱材の性能を左右する3つの指標

断熱材を選ぶ際は「熱伝導率」だけでなく、密度・UA値・C値との関係や透湿性・防火性も合わせて確認することが重要です。

熱伝導率(λ値)

熱伝導率とは、材料の熱の伝わりやすさを示す数値です。単位はW/m·Kで、数値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。

密度

見落とされがちですが、熱伝導率と並んで重要なのが密度です。同じ種類の断熱材でも、繊維やビーズの密度が高いほど内部の空気層が安定し、断熱性能が出やすくなります。たとえばグラスウールには10K・16K・24Kといった密度の規格があり、数字が大きいほど高密度・高性能です。カタログの熱伝導率だけでなく、密度の規格も合わせて確認すると、同じ「グラスウール」同士でも性能差を見抜けます。

UA値・C値との関係

断熱材の性能が高くても、施工の精度が低ければ意味がありません。家全体の断熱性能を示すUA値(外皮平均熱貫流率)と、気密性を示すC値(小さいほど良い)を合わせて確認することが重要です。C値が低い(隙間が多い)と結露のリスクも高まります。

透湿性・防火性

断熱材によって、湿気の通しやすさ(透湿性)や燃えにくさ(防火性)も異なります。繊維系断熱材は透湿性が高く、適切な防湿施工が必要です。発泡プラスチック系は透湿抵抗が高いため、防湿シートを省けるケースもあります。

断熱材の選び方|失敗しない3つのポイント

工法との相性を確認する

断熱材は施工方法によって使えるものが変わります。

  • 充填断熱:柱と柱の間に断熱材を詰める工法。グラスウール・ロックウール・吹付けウレタンが代表的
  • 外張り断熱:建物の外側に断熱材を張る工法。フェノールフォーム・スタイロフォームが代表的

在来工法(木造軸組工法)2×4工法(ツーバイフォー工法)かによっても、採用しやすい断熱材が変わります。

住む地域の気候に合わせる

日本は北海道から沖縄まで気候差が大きく、国土交通省は断熱性能を地域ごとに「1〜8地域」で区分しています。寒冷地(1〜3地域)ではより高い断熱性能が求められるため、フェノールフォームや吹付けウレタンなど性能の高い断熱材が適しています。温暖な地域(6〜8地域)では、断熱だけでなく遮熱性能とのバランスも重要です。

コストと性能のバランスで判断する

断熱材のグレードを上げれば初期費用は高くなりますが、光熱費の削減で長期的に回収できる場合があります。断熱性能を一段階上げることでの光熱費削減額と、初期費用の差額を比較して判断することをおすすめします。

また、断熱性能の低い家は冬場に居室と廊下・トイレ・浴室の温度差が大きくなり、急激な温度変化が血圧の急上昇・急低下を招く「ヒートショック」のリスクにもつながります。断熱材選びはコストの話だけでなく、家族の健康に直結するポイントでもあります。

【注意】 断熱材の性能だけを上げても、窓や玄関ドアの性能が低いままだと家全体の断熱効果は頭打ちになります。開口部(樹脂サッシトリプルガラスなど)とのバランスもあわせて確認してください。

まだメーカーが絞れていない方は、ハウスメーカー診断で、断熱性能を含めた優先順位から方向性を整理することもできます。

断熱材の費用相場|種類別の価格目安

断熱材の費用は「材料費+施工費」で決まります。以下は35坪(約115平方メートル)の住宅を想定した目安です。

【注意】 価格・坪単価は、建築時期、地域、商品、延床面積、仕様、付帯工事、外構、諸費用によって変わります。この記事では比較時の目安として整理しており、最終的な金額は各社の見積もりで確認してください。

種類費用相場(35坪目安)備考
グラスウール50万〜90万円標準的な充填断熱
ロックウール60万〜100万円グラスウールよりやや高め
吹付けウレタンフォーム80万〜150万円気密工事も兼ねる
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)60万〜110万円床・基礎断熱で使われることも多い
セルロースファイバー90万〜160万円施工に専門業者が必要
インシュレーションボード100万〜180万円標準採用は少なく、補助的な使用が中心
フェノールフォーム100万〜200万円以上高性能住宅向け

仕様・厚み・業者によって大きく変わるため、必ず複数社から相見積もりを取ることが重要です。

断熱材でよくある後悔と対策

後悔1:「予算優先でグラスウールにしたら冬が寒い」

グラスウール自体の性能が劣るというより、施工精度の問題が多いです。施工中の写真を業者に見せてもらい、断熱材が均一に充填されているか確認することをおすすめします。

後悔2:「断熱材の種類にこだわったのに窓から熱が逃げた」

断熱材だけでなく、窓の性能も重要です。樹脂サッシやトリプルガラスなど、窓の断熱性能を合わせて強化することで、家全体の断熱効果が高まります。

後悔3:「断熱仕様をハウスメーカーに任せきりにしてしまった」

断熱材の仕様は、住宅性能の中でも後から変更しにくい部分です。契約前に標準仕様の断熱材の種類・厚み・UA値の実績値(カタログ値ではなく実測値)を必ず確認してください。

まとめ

最後に要点を整理します。

  1. 断熱材は大きく繊維系・発泡プラスチック系・木質繊維系の3系統、主要9種類に分かれ、性能・価格・適した工法がそれぞれ異なる
  2. 種類だけでなく、充填断熱・外張り断熱・付加断熱という「工法」によっても性能とコストが大きく変わる
  3. 熱伝導率だけでなく密度・UA値・C値まで確認しないと、同じ断熱材名でも実際の性能はわからない
  4. 断熱仕様は契約後に変更しにくいため、見積もり段階で標準仕様の種類・厚み・実績値を必ず確認する

まだメーカーが絞れていない方は、ハウスメーカー診断で方向性を整理することから始めてみましょう。積水ハウスの断熱仕様について実物を見てみたい方は、わが家見学(千葉・実邸)もご活用ください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 断熱材の種類が多くてどれを選べばいいかわかりません。何を基準に選べばいいですか?

「住む地域」「工法」「予算」の3点で絞り込むのが基本です。寒冷地であれば熱伝導率の低いフェノールフォームや吹付けウレタンが適しています。予算を抑えたい場合はグラスウールでも、施工精度が高ければ十分な性能が得られます。まずは検討中のハウスメーカーや工務店の標準断熱仕様とUA値の実績値を聞いてみることをおすすめします。

Q. グラスウールは安いですが、性能は劣りますか?

価格が安いからといって性能が大きく劣るわけではありません。グラスウールは正しく施工されれば十分な断熱効果を発揮します。問題になりやすいのは施工品質で、隙間なく充填されているかどうかが性能を大きく左右します。施工実績の多い業者を選ぶことが重要です。

Q. 充填断熱と外張り断熱、結局どちらがいいですか?

費用を抑えながら標準的な性能を確保したいなら充填断熱、結露リスクを抑えつつ高性能を狙うなら外張り断熱が向いています。両方を組み合わせた付加断熱は最も高性能ですが、費用も最も高くなります。地域の気候とハウスメーカーの標準工法を踏まえて判断してください。

Q. 断熱材は家を建てた後で変えられますか?

壁の中に充填する断熱材は、建築後に変更するには大規模なリフォームが必要になるため、実質的に難しいです。断熱材の種類と厚みは設計段階・契約前に決定することが非常に重要です。見積もり段階で断熱仕様を必ず確認してください。

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